人間の子どもの期間というのはめちゃくちゃ長いですね。
「子どもの期間=自立していない期間」として、他の動物と比べてみると、その長さに驚きます。人間以外の哺乳類で1年未満、長くて2、3年といわれています。だから人間の子育て期間がだいたい20年というのはとてつもなく長いわけです。
昔は丁稚奉公で幼少期(10歳ぐらい?)から働く子もいたと考えると、今が豊かな時代であるがゆえの子ども期間なのかもしれませんが、その中でも、いろいろ行き過ぎてしまっていることがあるのではないか?と感じ、記事にしてみました。
1.前置き
わたしの場合、生まれた時小さかった息子に、「早く大きくなって体がしっかりしてくれないかな」と思い、夜泣きがひどかったら「はやく100日過ぎてくれないかな。夜ゆっくり寝たいな」と思い、イヤイヤ期がきたら「早く過ぎてくれないかな」なんて思ったり。「はやく○○になってくれないかな」と少なからず思っていました。いろいろあるたび、「男の子っていつ大人になるんだろう?」って思いながら、現在中学二年生の息子がいるわけですが、とある植物の本を読んで、何を急いでいたのか、と反省しました。
2.立派に育つには幼少期が大切だという大前提
イモムシ(幼虫)の話です。
イモムシの時代って、カブトムシでもチョウチョウでも、イモムシ時代に食べた分量(栄養量など)によって成虫になった時の大きさが決まります。成虫になってからどんなに食べても、大きさは変わらないんですよね。だから、イモムシ時代にたくさん食べるわけです。
実際、オオクワガタを4年ほど育てた時に、菌糸瓶(栄養たっぷり)と腐葉土(栄養少し)とで比較しながら何匹か育ててみました。どちらが大きくなるか、実験してみたのです。
その結果、それはもう、大きさが全然違いました。菌糸瓶で育った幼虫の方が腐葉土の幼虫に比べて二〜三倍ほど大きな幼虫になりました。そして、幼虫が大きいと、もちろん成虫(オオクワガタ)も別の種類かと思うほどに大きくなりました。
なるほど、幼虫時代の食べ物って重要なんだな、と。栄養のある場所を確保して卵を産むのも重要だし、食べるという能力があるのも重要なんだな、なんて感じたものです。
3.イモムシ VS 植物
幼虫の食べ物が土であっても葉っぱであっても、もりもり食べるのは変わりません。大きくなりたいわけです。
一方、頑張って伸ばした葉っぱが、食欲旺盛なイモムシたちにどんどん食べられていく…。食べられる側の葉っぱも生き抜くために必死なのです。葉っぱに毒を持つようにして対抗策する種類が多いそうです。
そうなると、イモムシもたくましく頑張ります。解毒できるように変化(進化)していくようです。少々困難な環境でも「毒」だと気づけば対応ができるのですね。すごい。
ところが、イモムシにとって厄介な葉っぱがいます。
その名も
イノコヅチ
毒ではなく、どうしたか、わかるでしょうか。。。私だったら、、、、こんなこと思いつかないなあ、と思いながら感心してしまいました。
答えは
「ホルモンによってイモムシの脱皮を早める」
というものでした。
イモムシはまだ十分に食べていないにも関わらず、もう脱皮する時期がきたと錯覚して脱皮をしてしまいます。この十分成長しないままの脱皮を繰り返し、成虫(チョウチョウ)になる。
成虫になるのはいいけど、当然体は非常に小さいので、生殖能力は望めません。
このイノコヅチは根本的に天敵の存在を排除しようとしたわけですね。
4.子育てに当てはめてみると
イモムシ期間=子ども期間として当てはめてみると、、、
子どもの期間がいかに大事か、というのがよくわかります。
子どもにとって、栄養とは何か、毒とは何か、なんとなくイメージできそうです。例えば、栄養だったら、心の成長のように思えますし、毒は生きる上で克服していくべきものかな、という感じです。
では、イノコヅチの「脱皮を早める」、というのは、、、
子どもの期間を足早に早く過ごし大人になったつもりでいさせること、つまりは「気付かずに子どもの成長を阻害しているもの」とも言えるのではないかと思います。
早期教育の事?詰め込み教育の事?英才教育?お受験?中学受験?目の前の子どもと向き合うってみると見えてくるかもしれません。
ちゃんと子どもの時間はたくさんあるのですから、目の前の成果を目標とせず、もっと長いスパンで育てる、というのが大事な事なのかな、と思いました。
いやはや、反省です。
子どもに「早く大きくなって」と思っていましたから、本当にごめん。現在、二人の子どもはまだ子ども期間ですから、自立のお手伝いはポイントポイントで多すぎず少なすぎずを目指して、じっくりこの期間を楽しむ事にします。