自然科学

自分の好きな生き物を魅力的にプレゼンしてみよう!

自分の好きな生き物を一つ取り上げ、「こんなに可愛いんだよ」「こんなにすごいんだよ」と自慢して好きになってもらうようにプレゼンテーションを行なってもらいます。

1枚のポスターにしてみたり、複数枚のスライドにしたり、ちょっとした冊子にしてみたり。

どの部分を、どのように伝えるかを考えることで、生き物のメカニズムや生存戦略や食物網など、色々なことに気づき、視野が広がってきます。

近頃、虫などを嫌うお子様(大人)も多いですが、知らない程怖さが出てくるものです。

これは生き物に対しての感情に止まらず、現状維持で変化を嫌う思考に繋がってしまうこともあります。

よく知ることで、興味や愛情がわいてくるものなので、知っていくことで好きになる経験をしてもらいたいと思います。

(※知識を丸暗記するのではなく、なるほど!と納得し、理解していきます。)

 

探究学習の手順

1

姿が良くわかる静止画、動きや生態が分かる動画を集めてじっくり観察する。(本物が一番よい)

2

なるべく多くの情報を集める。(図鑑、Webサイト、動画、専門書など)

3

情報を並べて整理し、不思議なことや疑問点を探す。

4

自分なりの仮説をたててみる。(なるべく辻褄が合うように)

5

自分なりの発見や納得を、自分なりの形で魅力的にまとめ、発表する。

生徒のプレゼン・発表の一例

年長(女の子)

自分の身長と比較すると大きさが実感できる

自分の身長と比較すると大きさが実感できる

本当にお魚が大好きな生徒さんです。これは魚図鑑のサケ目の魚たちについて、大きさの違いに着目しながら、推測して遊んで(学んで)いるところです。何も指定しなくても、ちゃんと柄や色などを工夫してくれたり、自分と比較してくれたり、色々な工夫が見られます。何より、イラストの表情から、本当にお魚たちが大好きな気持ちが伝わってきますね。また、手助けなく自分一人で何十分間も図鑑を調べ読み込む集中力、魚の名前を覚えただけで満足せずエサや生息地などにも関心を広げる好奇心など、好きを追究する力を感じます。何よりいつも満面の笑顔で『学ぶ工程を楽しむ力』が備わっていることに驚かされます。

 

小学3年生(男の子)

実物大のカモノハシ

実物大のカモノハシ

カモノハシを調べる中、お母さんと一緒に実物大の「カモノハシ張子」を作成してくれました。制作途中で紙粘土が足りなくなって、お父さんに買い足してきてもらったり、家族皆さんで協力し、何日もかけて完成させてくれた大作です。色々な絵の具をの混ぜて、オリジナルの色を作ることを楽しんだそうです。そして、目の表情にも拘ったそうで、何とも可愛らしく表現されていると思います。上手くいかなくても根気良くリカバリーしたり、新しい発想が出てきたり、「イメージ通りに可愛く仕上げたい」「納得いくものを仕上げて見せてあげたい」という強い意欲を感じます。

 

小学4年生(男の子)

メバルのイラスト

メバルのイラスト

初めて行く海釣り、メインターゲットは「メバル」です。せっかくなので沢山釣りたい。そこで事前にメバルの生態をよく調べ、海の中をよく想像し、できる限りの準備を行いました。このイラストも特徴がよく描かれていますね!果たして、釣果はいかに!?

 

小学4年生(男の子)

アリの巣(女王蟻の飼育と観察)

アリの巣(女王蟻の飼育と観察)

公園などで捕まえた女王蟻を飼育ケースで育てて観察しているところです。女王蟻は卵がかえって働き蟻が育つまで、飲まず喰わずで暮らすことができるそうです。しかし、どのようにしてそれを実現しているのでしょうか?論文などを調べてみると、数々の「すごい!?」がみつかってきました。ストレスを与えると上手く巣穴や卵が観察できなかったり、一筋縄ではいきませんが、上手く育ってくれると良いですね!

 

小学6年生(女の子)

肋骨を甲羅に進化させたリクガメ

肋骨を甲羅に進化させたリクガメ

乾燥地帯に住む「リクガメ」の丸いフォルムの可愛さを伝えたい!というところから探究がスタートしました。その中で「何でこんな形なのか?」という素朴な疑問が湧き、仮説をもとにコツコツと調べていくと、「生き物の繁栄と絶滅の歴史」へと話が繋がっていきました。このようにして、地球の成り立ちと生物の進化の関係が段々と見えてはきましたが、知識や事実を並べ立てるだけでは、当初の目的である「リクガメの可愛さ」を表現することはできません。ここからが大変だったと思いますが、ここで持ち前のアイデアとプレゼンセンスが光りました。要点を絞り込み、4コマ漫画を取り入れることで、とても上手にまとめ上げてくれました。調べること、考えること、想像することが多く、悩みも尽きなかったと思いますが、諦めずに最後までしっかりとやり抜いてくれたことは本当に素晴らしい経験と自信になったと思います。

 

深め・広げ・つなげる スローラーニングのポイント

1

どんな生態をしているのか?

2

体のつくりの特徴は?

3

他の種と比べての違いはあるのか?

4

どんなところが好きなのか?

5

何を食べているの?(三大栄養素)

6

ライバルは?

7

天敵は?

8

強みと弱みは?(トレードオフ)

ひとこと

唐突ですが、人は着の身着のままで夏や冬の森で一晩を無事に過ごせるでしょうか?よく考えてみると、かなり難しいことが「想像」できますね。

ところが、狸や鳥や虫たちは、そんな過酷な環境下でも逞しく生き抜いています。なぜそのようなことが可能なのでしょうか?どのようにして生き抜いているのでしょうか?彼らは安全、快適なのでしょうか?それとも実際には・・・。

このように、生き物に対する一般的な知識はあっても、想像力や理解力が十分でないと「スゴイな〜」と尊敬の念を抱く事にはならないものです。そして、その先(奥)にあるメカニズムなどにも興味が到達することもないはずです。

道徳的に教え込まれた他者への尊敬や感謝ではなく、心からの想いを育むことが大切なように思います。

★teku先生のX(ポスト)

ギフテッド関連コラム

  1. 【辛口】ギフテッドに最適な学習方法は飛び級や先取りにあらず。

  2. 【ギフテッドの育て方】個性や才能を伸ばす教育のコツや習い事について真面目に語ります。

  3. 行きたがらない小学校に無理やり行かせた結果〜行ってよかった?の問いに中学生になった今、どう答えたか〜

  4. ギフテッドと塾と中学受験

オススメ or 新着コラム

オススメの記事 新しい記事
  1. 「好奇心を起点に、主体的に学び、深める」これは一種の「技術」である。

  2. 教育における「3つの要素」を知ろう。

  3. 【セレンディピティー】偶然の発見には理由がある。

  4. 問われるのは「問う力」。簡単に納得しないクセ。

  5. 【解説】スティーブ・ジョブズも重視したリベラルアーツって何だろう?

  6. 「役立つ」より「面白い」の視点

  7. 【環境が人を育てる】読み聞かせの効果は理解力に表れる。

  8. 【読み解く】小学生向けのオンラインの習い事・学習塾・教室の選び方。多くの人が誤解している肝心なこと。

  9. 【日経新聞より】アクティブラーニングを導入したのに「受け身」な生徒が増えてしまうの!?

  10. 人口減により遂に偏差値時代が終幕。これからの入試とあるべき幼少期教育について。

  1. 「好奇心を起点に、主体的に学び、深める」これは一種の「技術」である。

  2. 教育における「3つの要素」を知ろう。

  3. 【セレンディピティー】偶然の発見には理由がある。

  4. プチ探☆マンガ『ソルト ルアー フィッシング』編

  5. 問われるのは「問う力」。簡単に納得しないクセ。

  6. プチ探☆マンガ『月の模様』編

  7. 「放流で魚が減る」をクリティカルに考えよう。

  8. プチ探☆マンガ(春の七草-完結編)

  9. 【解説】スティーブ・ジョブズも重視したリベラルアーツって何だろう?

  10. プチ探☆マンガ(春の七草-③)

スローラーニング特集

  1. 「好奇心を起点に、主体的に学び、深める」これは一種の「技術」である。

  2. 教育における「3つの要素」を知ろう。

  3. 【セレンディピティー】偶然の発見には理由がある。

  4. プロセスをしっかり踏むこと。それが成長のロジック。【塾長の想い】

  5. 「のびてく」で身に付くアナロジー思考について

  6. 科目横断的な探究学習と科目学習をどのようにリンクさせていくのかについて、具体例で説明します。

  7. ずっと伸び続ける方法(スローラーニングで好奇心を育てる)

  8. スローラーニング誕生の背景

探究カリキュラムの一例

  1. 【フィールドワーク】石や鉱石を探そう!何が分かるかな?

  2. オオカミ再導入を考える。(豊かな森と生態系の回復を目指して)

  3. 戦争と平和について考えてみよう。

  4. 自分の好きな生き物を魅力的にプレゼンしてみよう!

  5. 論説文や随筆分を構造的に整理してみよう!

  6. 【知恵トレ】自分で規則や法則を作り「知恵」で解いてみよう!

  7. 「形」の仕組みを体感的・論理的に理解しよう!

  8. オノマトペを通して読解力を高めよう!

  9. 観察を通して地球の成り立ちと自然現象を結びつけよう!

  10. 世界の宗教と人々の生活について調べてみよう!