どうもnobi先生です。
今日、本棚を整理しているとギフテッド関連の書籍が何冊か出てきました。
購入した当時は結構悩んでいたなと懐かしくもありますが、今となってはものすごく遠い昔のことのようにも感じます。
どうして今は「悩みのタネ」ではなくなったのか?どういった経緯で「中学受験」を選択したのか?などについて、自己の整理の意味も込めてちょっと書いてみたくなりましたので、書いてみます。
なお、私はギフテッドの専門家・医ではありません。また、ギフテッドの診断を受けたこともありません。あくまで経験的に感じたことを書いているだけなので、それを考慮して軽く読んでいただけると嬉しいです。
1.親の焦りや悩み
幼少期に「もしかして…うちの子はギフテッド…?」等と感じているということは、理解力や分別などにおいて成長が早い状態なのだと思います。
それと同時に「親として何かしてあげられることは無いだろうか?」「このままで良いのだろうか?」と焦ってしまう時期だと思います。色々な意味で「周囲との距離」を感じやすいため、親御様の悩みも日々強くなっていることでしょう。
こういった焦りや悩みは周囲に相談し辛いですし、できる相手もなかなかいないですし、もやもやしっぱなし…。実際、我が家はこのような感じでした。
〜我が家の紹介〜
2021年9月現在、我が家には中学2年生の息子と小学6年生の娘がおります。息子も娘も幼稚園ではなく、インターナショナルプリスクールに通わせました。小学校は地元の公立小学校です。息子は中学受験をして兵庫県の灘中学へ入学。勉強よりも競技テニスに夢中で、あと一歩届かない全国大会を目指しています。最近はイラストにも夢中です。娘は現在受験生です(※追記:立命館守山中学に進学)。ピアノを習っていて(ヤマハのジュニア専門)、作曲して発表したり、コンクールに継続的に出場したりと、マイペースに音楽を楽しんでいます。お菓子作りやものづくりなども大好きです。子供達の母であるteku先生は自由で面白い人です。のびてくプチ探究漫画の作者でもあります。真冬の極寒の日に自宅の庭付近で保護したハチワレ猫を家族全員で溺愛しています。そんな感じの家族です。
2.ギフテッドの幼少期は生きづらいことが多い
このように「成長が早い状態」で公立の小学校に入学すると、結構大変だと思います。実際、うちの息子は「やんちゃという名の暴力?」や「放任主義という名の育児放棄?」などフルコースで洗礼を受け続けました。
一瞬ではありましたが、ホームスクーリングを真剣に検討したりもしました。この時に悩んで、調べて、「ギフテッド」という言葉と出会ったと記憶しています。
小学1〜3年生の間は親子共々、我慢の連続でした。(長かった…)
何とか家庭で意欲や元気を回復させてあげようと、キャンプに行ったり、釣りに行ったり、生き物を育てたり、絵を描いたり、スポーツしたりと、家庭で沢山遊んで、学ぶようにしていました。
ところが、4年生辺りからは周囲との分別の差も少なくなり、友達と楽しく遊べるようになり、小学校が少しずつ好きになっていきました。(3年生時の担任は臨機応変な指導ができる素晴らしい先生で、大変恵まれていました。)
3.知的好奇心を満たすために進学塾に入塾
ただし、小学校の学習(勉強)だけでは退屈過ぎて仕方がなかったので、知的好奇心を満たす目的で週に1回だけ塾に通うことにしました。
この時点では中学受験を考えていた訳ではなかったので、算数、国語、理科の各科目ごとのダイジェスト版授業を1日でまとめて行うといった一番下のライトなクラスです。
ラッキーなことに、このクラスは最難関クラスの先生が担当されており、先生の裁量で個別に特別問題を解かせてくれたり、豆知識や雑談・雑学などを沢山聞かせてくれたりしていました。なので毎週、ちょっとずつ知らないものを知っていくことができて、凄く楽しかったようです。
横並びの教育を推奨する日本においては、実質的に学習塾が唯一のギフテッドの受け皿となっているように感じます。ただし、その方向性が「中学受験一本」になってしまっていることが少しだけ残念ではあります。
4.我が家の中学受験
最終的には「徹底的に自由な校風のもとで、文武両道を目指せる灘中学で、大好きなテニスを謳歌したい!」ということが大きな動機となり、無謀にも灘中学を受験する道を選択しました。大きな大きな挑戦でした。
また、我が家のスローラーニングの様子ついて、プレジデント社より取材を受け、プレジデンドFamily 中学受験大百科2020完全保存版(プレジデントムック)「灘中合格家庭にお宅訪問」に掲載されました。
プレジデント Family 中学受験大百科
プレジデント社より取材を受け、プレジデンドFamily 中学受験大百科2020完全保存版(プレジデントムック)「灘中合格家庭にお宅訪問」に我が家のスローラーニングの様子が掲載されました。
【主な取材内容:文武両道を高いレベルで実践できた家庭学習の秘訣】
- 幼少期より大好きだった硬式テニスを通して楽しみながらスローラーニングを実践し、非認知能力を鍛えていたこと。(※滋賀県では準優勝、関西ジュニア2R)
- 詰め込み学習は行わなず、「量より質」を重視した独自の家庭学習を貫いたこと。
- 子供の性格を考えると、徹底的に自由な校風である灘中以外の選択肢がなく、無謀にも志望校を灘中だけに絞ったこと。
- その結果、本格的な受験勉強はたった1年だけで最難関の灘中学に合格したこと。(※6年生の1年間で偏差値を10以上も上げた。)
余談ですが、取材時に記者さんから「お父さんに(目的や狙いについて)質問しても、息子さんが(自分の言葉で)答えてしまうんですね。こんなの初めてです。可笑しくて仕方ありません。あっはっは〜。」と大笑いされてしまいました。
客観的に見るとコミカルで面白い光景だったようですが、子供自身が目的意識を持って自分の頭で考え抜いて学習していた証だと感じました。
他にも、テニス中心の生活のため塾の国語や夏期講習などは受講せず、さらに受験期前半の灘中対策講座まで受講しなかったことには大変驚かれてしまいました。
取材慣れされているベテラン記者さんから見て「めずらしい」ということは、残念ながら世間では親や塾が主導の詰め込み学習が多いのかなと、残念に思いました。
5.子育ての悩みがなくなった理由
ギフテッドの定義は色々とあるかと思いますが、最終的に私の論点はどこにいったかというと、「特別か特別でないか」ということ。
特別の基準としては「100人に1人(1%)程度であれば特別とは言えないよな。0.1%だと特別かな?ん〜、どうかな。」というような感覚です。
ギフテッドは人口にして1~2%程度とされているようなので、私の感覚に照らし合わせると特別ではなく「普通」ということになります。
ここで「普通」についての認識を補足しておきますと、「普通=均一」ではなく、「普通=ばらつきがる」と考えています。
突然ですが、野菜の種には「F1種」と「固定種」があるということをご存知ですか?
【F1種とは】
異なる両親を交配させると「優勢の法則」が働くため、種には両親の優勢部分、つまり両親の良い部分の特徴が発現する。この個体を特別な方法(自然界にはない環境)で自家受粉させ、クローン栽培し、採取したものがF1種である。良い部分が発現した個体と全く同じ遺伝子を持つため、良い特徴を引き継ぎ、栽培性が高く、栽培環境が多少良くない状態でも強健に育ち、収穫も多いとされている。
【固定種とは】
自家採取(自家不和合性)などによって、代々植物の持つ性質や形といった形質が受け継がれた種。形や味などにおいて多様性を有し、新しい特徴をもった種を残す可能性を広げる。悪い言い方をすれば不ぞろいという特徴がある。
ここでの「普通」とは「固定種」のようなことを指します。
単に不揃いなのではなくて、ここには生存戦略があるのだと思います。F1種(クローン)のように同じスピードで同じように育ってしまうと干ばつ、洪水、害虫などの環境変化が起こったさいに「全滅」する恐れがあります。
しかし、ある程度のばらつきが備わっていると、どれかは生き残ってくれるので結果として種の存続が続くのです。
大きさ、味、形、時期…色々な方向でバラついているのが「普通」ということです。
人間も性格や特性の違いがあって普通であり、特別ではないということ。
仮に世間のギフテッドという定義に当てはまったとしても、それは特別なのではなく普通であるということ。
「ギフテッドなのかどうか…。何をすべきか…。」そんなことが悩みのタネにならなくなったのは、結局どっちであっても親ができることは「好奇心を刺激し、リアクションをしっかり返して、学ぶ機会を作ること」に変わりはないと思えたからです。
学ぶ機会は足りているのか、足りていないのか。学習内容は今が良いのか、未だ先にすべきなのか。
そういったように我が子の観察に集中し、学びのプロセス自体を楽しめるようになった頃から悩みは自然と無くなっていきました。
(※ここでは端折って淡々と書きましたが、息子の時は沢山悩みました。その経験もあって、娘の時はあまり悩みなく子育てができていると思います。)
6.持って生まれた才能では決まらない
当時は気付いていませんでしたが、言語や理解の発達…etc、それらはポジティブな意味での「早熟の一種(※英才ではない)」だと考えて良いのだと思います。
育つ部分の順序が違っている場合もあれば、全体的に早い場合もあります。
「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」
とはよく言ったもので、「何もしなければ」最終的にはよく似たように落ち着いてくることが多いのだと想像できます。
しかし、早熟だからといって必ずしも成長が止まる訳ではありません。
出る杭を打たず、既存の枠に押し込めず、間違った英才教育(先取り&詰め込み)をせず、特別意識を持たせ過ぎず…etc、例え世間の常識とは少し違ったやり方だとしても、『その子の特長に合わせた学び方』をみつけてあげることで、萎んでしまったり、縮んでしまったりすることなく、成長を続けていくことができると実感しています。
そして、学びをサポートする上で何より大切なのは『継続力への導き』だと思います。(※飽きてしまったり、頭の中で完結させてしまったり、継続できないことも多い。)
継続力は我慢や忍耐力と同じであると思われがちですが、そうではありません。
どんなに単調な状況や、どんなに困難な場面においても、「鋭い着眼点」や「豊かな想像力」などによって、いくらでも「やれそうなこと」「試してみたいこと」「確かめてみたいこと」「疑問に思うこと」…etc、これらが途切れずに湧き出てきて、自然とやり抜いている状況、これが継続力です。
高度な知識をどんどん先に与えるのではなく、好奇心や探究心や挑戦心が途切れないような心を育てていくことが最適なサポートなのだと思います。
最終的には、努力(好奇心・探究心・挑戦心・実行)を楽しんで継続できることが才能であり、天才なんだと思います。
【最後に】
好奇心を閉ざさないような環境を用意し続けることが親の務めなのかと思います。
習い事をするも良し、しないも良し。
中学受験をするも良し、しないも良し。
それぞれの判断で良いのだと思います。
(おわり)
参考:ギフテッドに関する過去のコラム
(↓塾長の想いのコラムでは、日本の学校教育の問題点についても深く考察言及しています。)
プロセスをしっかり踏むこと。それが成長のロジック。【塾長の想い】
【ギフテッドの育て方】個性や才能を伸ばす教育のコツや習い事について真面目に語ります。
【辛口】ギフテッドに最適な学習方法は飛び級や先取りにあらず。
上記コラムの内容を含め、アクティブラーニングや探究学習などについてのご質問、これからの教育や入試制度についてのご相談などがありましたら、お気軽にオンライン無料相談をご利用くださいませ。
最近になって、大手メディアでギフテッドが取り上げられるようになりました。進学塾がかなり受け皿になっていると思います。それ以前は、囲碁将棋の世界で活躍できる人は学校も中退してプロになり生活でき社会的にも高く評価されていました。一口でギフテッドと言っても、様々なタイプ、方向性があるのではないでしょうか。今の社会で活躍できれば問題ないでしょう。藤井聡太さんが将棋で、芦田愛菜さんが女優で活躍できているのは幸運だと思います。いろんなタイプの人がいろんな形で活躍できればいいなと願います。少なくとも、才能のために深い悩みを持つことのないように願います。ITが進化したので、これまでの学校教育を超えた選択が出来るようになったことはいいと思います。