幼少期にはじっくりと読解力を磨きましょう。(中学受験にもつながる)

 

軽視されがちな読解力

小学校6年生になって国語の偏差値が下がった(もしくは上がらない)という話をよく聞きます。6年生になって一気に難易度が上がり、さらに目前(あと数ヶ月)に受験も見えてきて、「どのように国語を勉強したらいいのか⋅⋅⋅」というお悩みなんかも。

ご存知のように読解力を身につけるには時間がかかります。そして、時間がかかるのですが、時間をかければ自然と上がるというものでないのも悩ましい部分です。(長文問題を解く量を増やせば良いというものではないのです。)

「ちょっと見落としていただけ」「意味がわかったら解ける」「勘違いしてた」「うっかりミスだった」「読み飛ばしていた」など、ちょっとのことに見えますが、実はそうではない(根が深い)と思っています。

また、読解力は国語だけの問題ではなく、算数や理科、社会など他の教科にも大きく影響を及ぼしてきます。このことはほとんどの方がご存知なのですが、それでも点数や偏差値といった形で問題が表面化してからでないと「動かない(焦らない、気付かない)」という方が多い印象でした。

しかし、「(我が子は)読解力があるのかどうか」、塾の模試以外でそれを正確に判断することも難しく、また、「どうすれば読解力が上がるのか」、といった方法も見えずで、「動かない」のではなくて「先送りにされている」という表現が近いように思います。

 

娘が「解答が違う!」と泣いた話

あれは確か小学校5年生の頃だったと思います。娘は塾に通っており、国語の宿題(長文問題)を解いていました。いつも通り順調だと思いっていたのですが、急に泣き出したのです。

「解答がおかしい!間違ってる!(涙)」

あわてた私は一緒に問題文を読んで、問いも読んでみました。そして解答も。なるほど。日本語の曖昧さが災いして、複数の理解ができる問い方になっていました。塾の問題集という大人の経験フィルターを通して読めば回答に書かれているようになるのですが、純粋に初見で与えられた文章からだけだと娘の言うような回答も決して間違いではありませんでした。我が家ではどっちも正解!(娘は)ちゃんと読めていて、考えられているね、と。そういう部分に引っかかった事はとてもいい事だと伝えました。

この瞬間を丁寧にすくい取らず、赤ペンで直して終わってしまっていたら、何の収穫もないどころか、読解力を妨げる大きな壁になっていたことだと思います。

国語(読解力)の勉強って、地道ですがこういう小さなことの積み重ねだと思うのです。

 

読解力とは

生まれてきていきなり本を読む赤ちゃんはいません。まずは耳から聞いて理解していくわけです。

読解力の前に聴く力というものが重要になってきます。聴く力とは、”相手の言ってることを理解しようとする力”です。「この人は何を言っているのだろう」「何が言いたいのだろう」と興味を持って聞いていると思考が働きます。そして疑問もでてきます。それを繰り返していると”細かい部分の違いにひっかかる”ようになるのです。その引っかかりが気づきです。(最近でいうと、『ミステリーという勿れ』の整くんのイメージです。)

そういう引っかかる(気づきの)ポイントが多いと、何かのキッカケで一気に繋がったりします。なにもなくスーッと通り過ぎるのか、繋がっていくのか、理解する力の差はここにあると思っています。

読解力においても同じで、この文章は何が言いたいのかなどを(興味を持って)思考し、理解する力であり、聴く力同様、気づきが多いとその分正しく理解できるのです。冒頭で言っていた、「ちょっと見落としていただけ」「意味がわかったら解ける」「勘違いしてた」「うっかりミスだった」「読み飛ばしていた」のは読解力の問題といえるのではないでしょうか。

引っかからない、気づかないから素通りしてしまうのですね。

 

中学受験の国語

中学受験の国語について話を戻して終わります。

最難関中学では出題が幅広く問いも本質的で難しいです。難関校や有名校でも、テクニックや付け焼き刃の読解力では解けないものが多いです。ここで見落としてはいけないのが、各学校がなぜそのような出題をしているのかという部分です。

当サイトでも何度か語っておりますが、建学の精神を持つ学校においては「こういう力を身につけてやりたい。育てたい。」という教育の理念(アドミッションポリシー)が色濃くあって、出題には先生からの具体的なメッセージが込められています。それを受験テクニックでかわすのではなく、真正面から受け取って、豊かに感じ取り、表現できるように日頃から取り組むべきだと思うのです。入学後も、子供たちの自立に向け、親は口出しし過ぎないことが最重要になってはきますが、それでも学校と家庭は連携して、見守っていくことが不可欠です。

繰り返しになりますが、6年生になってどんどん時間がなくなっていく中で、じっくり読解力をつけるという事は本当に難しいです。

また、この読解力は社会に出てからも生きてくる力なので、たっぷりと時間のある幼少期からコツコツ積み上げる事が大事だなあ、と改めて思う次第です。

Teku

TekuTeku先生です。

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