「感性」「ことば」「思考」

「のびてく」独自の概念について

スローラーニングでは「感性」「ことば」「思考」の3つの軸でお子様の成長を把握して行きます。

それぞれが、どういうった概念を持つのかについて詳しくご説明して行きます。

言葉の定義

  1. 【A】感性:差異に気づく力
  2. 【B】ことば:自由自在な言語化と映像化
  3. 【C】思考力:ものごとの構造化と論理構築

このように定義しています。

「のびてく」では思考の4Stepsトレーニング理論に基づいて探究学習を進めていってもらうのですが、各探究テーマにはこの3つの軸が取り入れられています。指導する講師はこの3つの軸を明確に意識し、一人一人の個性に合わせつつ内から外へ連鎖するように導き、「自ら考える力」を伸ばして行きます。

更に掘り下げてご説明して行きます。

 

①【A】感性:差異に気づく力

  • 主に植物、生き物、自然現象、スポーツ、音楽などの観察(鑑賞)を通して、好奇心や感性(差異に気づく力)を養います。
  • 当たり前と思い込まず、実際に自分で確かめるという感覚と習慣が、将来のクリティカルシンキング(批判的思考)のベースとなります。
  • 従来の科目では「理科」の範囲に近いものです。

 

少し硬い話のように聞こえるかもしれませんが、まず「観察力」の重要性についてお話ししたいと思います。

湯川秀樹博士に続いて日本人2番目のノーベル賞を受賞し、素粒子物理学を中心とする理論物理学の研究に大きな業績を残した朝永振一郎博士(1906-1979)の著書「物理学とは何だろうか」の上巻の序章にある一節をご紹介します。

「われわれをとりかこむ自然界に生起するもろもろの現象ーーーただし主として無生物にかんするものーーーの奥に存在する法則を、観察事実に拠り所を求めつつ追求すること」これが物理学である、としておきましょう。

朝永振一郎博士(1906-1979)の著書「物理学とは何だろうか」より

このように記されています。

物理学という学問は、現在にいたるまで絶えず変化しており、将来も変化するに違いないから物理学を定義することは不可能ではありますが、おおよそのルールや守備範囲くらいは規定しておかねばならないということで、上記のように表現し定められたわけです。

ノーベル賞という高い到達点に至るにも、「自然観察から法則(真理)を導き出すことが学問なのです。」というように、目の前の小さな一歩を大切するところからのスタートなのです。また、「そして、それは絶えず変化していくものなのです。」というように、科学はどんどん更新されていくものなので、しっかりと自分の目で見て、自分の頭で考えることが欠かせないのですね。

これらのことを私たちも大いに取り入れ、学びたいものです。

大事な幼少期だからこそ、楽しみながら(無生物に限らず)身近な植物、生き物、自然現象などを見て触って観察することで、感性を刺激し、疑問や推測力を膨らませて行きましょう。

 

 

②【B】ことば:自由自在な言語化と映像化

  • 主に、ことば遊び、物語、絵本、紙芝居づくり、写真、アート、などを通して、読解力(自由自在な言語化と映像化)と表現力を養います。
    [言語化]:見たもの感じたものを言葉として豊かに表現すること。
    [映像化]:読んだり聞いたりした言葉を頭の中でリアルに再現すること。
  • 「感性」と「思考」を結ぶ大切な「ことば」を豊かに育んでいきます。
  • 従来の科目では「国語」に近いものです。

 

ここでは「ことば」が「感性」と「思考」を結ぶ大変重要な役割を果たしていることをお伝えしたいと思います。

まず、養老孟司さんの文章をご紹介します。

身体を動かすことと学習とは密接な関係があります。脳の中では入力と出力がセットになっていて、入力した情報から出力をすることが次の出力の変化に繋がっています。身近な例でいえば、歩けない赤ん坊が何度も転ぶうちに歩き方を憶える。出力の結果、つまり転ぶという経験えを経て、次の出力が変化す、ということを繰り返す。そのうちに転ばずに歩けるようになってくる。

養老孟司 「バカの壁 第5章 身体と学習」より

ここで言えるのは、基本的に人間は学習するロボットだ、ということ。それも外部出力を伴う学習である、ということです。「学習」というとどうしても、単に本を読むということのようなイメージがありますが、そうではない。出力を伴ってこそ学習になる。それは必ずしも身体そのものを動かさなくて、脳の中で入出力を繰り返しても良い。数学の問題を考えるというのは、こういう脳内での入出力の繰り返しになる。ところが、往々にし入力ばかりを意識して出力を忘れやすい。身体を忘れている、というのはそういうことです。
江戸時代は、脳中心の都市社会という点で非常に現在に似ています。江戸時代には、朱子学の後、陽明学が主流となった。陽明学というのは何かといえば、「知行合一(ちこうごういつ)」。すなわち、知ることと行うことが一致すべきだ、という考えです。しかしこれは、「知ったことが出力されないと意味がない」という意味だと思います。これが「文武両道」の本当の意味ではないか。文と武という別のものが並列していて、両方に習熟すべし、ということではない。両方がグルグル回らなくては意味がない、学んだことと行動とが互いに影響しあわなくてはいけない、ということだと思います。
赤ん坊でいえば、ハイハイを始めるところから学習のプログラムが動き始める。ハイハイをして動くと視覚入力が変わってくる。それによって自分の反応=出力も変わる。ハイハイで机の脚にぶつかりそうになり、避けることを憶える。また動くと視界が広がることがわかる。これを繰り返していくことが学習です。
この入出力の経験を積んでいくことが言葉を憶えるところに繋がってくる。そして次第にその入出力を脳の中のみで回すことも出来るようになる。脳の中でのみの抽象的思考の代表が数学や哲学です。

養老孟司 「バカの壁 第5章 文武両道」より

このように記されています。

脳や身体への入出力の経験を積んでいくことで「ことばを憶え」、それが「抽象的な思考」に繋がっていくということです。また、これは「学習そのもの」とも言えるのです。

大事な幼少期だからこそ、脚本、絵、演劇が全て入った紙芝居を作ってみたり、写真にストーリーを付けてみたり、楽しみながら「ことば」に敏感になり、読解力や表現力を磨いて行きましょう。

 

 

③【C】思考力:ものごとの構造化と論理構築

  • 主に算数の問題(数、比、場合の数、数論、規則性、図形、文章題など)を例にとって、それらの構造を自ら定義していきます。
  • 従来の科目では「算数」、最近ではコンピュータ(プログラミング)も近いものです。

 

思考力の一つに、因果関係を解明する力があります。

例えば、2021年にノーベル物理学賞を受賞されたのは ・米プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員(90) ・独マックスプランク研究所のクラウス・ハッセルマン氏(89) ・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のジョルジオ・パリージ氏(73) の3名で、受賞理由は「地球温暖化の予測のための気候変動モデルの開発」です。

真鍋氏は、シミュレーションを使って地球に関する物理モデルを開発し、気候の成り立ちと変動を解明した。また二酸化炭素(CO2)の増加に伴う地球温暖化につながる基礎を確立。大気中のCO2の濃度上昇が地球表面の温度上昇につながることを実証した。

地球温暖化と二酸化炭素(CO2)の因果関係を立証した訳ですね。

科学では観察から始まり、仮説を立て、立証するという手順を踏む訳ですが、そのプロセスにおいて注意すべきは「情報収集」です。

自分にとって都合の良い偏ったデータ(情報)だけを採用することは科学ではなく、単なる捏造にしか過ぎません。仮に自分の予想と反していたとしても、客観的に事実を事実として収集していくことが重要であり、それが理論の信頼性につながるのです。

ところが、人間には先入観(無意識下での思い込み)というものが邪魔をしてしまうのです。

新たな気づきや発見をするためにも、まだ先入観を持たない幼少期に、正しい情報 収集を行い、「観察に拠り所を求めつつ自然の法則を追求する」という実証精神に触れてほしいと思います。

幼少期に算数の解法を丸暗記することに意味はありませんが、算数の問題を通して客観的な事実を整理し、構造化していくプロセスを学ぶことは非常に有効であり、将来のあらゆる思考の基盤となってくれます。

また、これを訓練することで、将来「分からないもの(難解なもの)」に対峙したとき、逃げてしまうのではなく、自分の持てるものをフル活用し挑戦するマインドが生まれてきます。徐々に紐解き、「分からない」が「分かった」に変わった瞬間は本当に気持ち良いものです。

「分からない」から「分かる」までのプロセスを楽しむことができれば、どんな分野のどんなものでも主体的に好きになれますし、何でも楽しめる才能を手に入れたようなものですね。

 

 


 

このように、世の中には色々な教育方法やコンテンツがありますが、結局は全てこの「感性」「ことば」「思考」の3つの軸に収めてしまうことが出来るのです。

「のびてく」では探究学習という形にこだわるのではなく、これらの軸に沿って育てていくことを大切にして指導しています。

 

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