はじめに
灘中受験の合格を目指して勉強しているけど、
・とにかく算数が難しくて苦手と感じている。
・他の最難関の問題は解けるのに、灘中だけは歯が立たないと焦っている。
・解説を読めば理解できるが、初見では手が出せない。
・これからどうやって勉強していけば良いのかに迷っている。
・算数の傾向と対策はないのかと探している。
そんな受験生と受験家庭の悩みに、「同じ苦しみを味わい乗り越えた経験から気づいたこと」をお話ししたいと思います。
〜本記事の内容〜
- 【灘中算数が難問な理由】 何が難しいのか? どうして難しいのか?
- 【勉強のポイントを解説】 どのように勉強すれば良いのか?
- 【実際の学習教材(レシピ)】 クリティカルシンキングを鍛える学習レシピ(過去問を題材に思考力鍛えよう!)
1.【灘中算数が難問な理由】 何が難しいのか?どうして難しいのか?
ご存知のように、灘中の算数は2日間にわたり行われます。1日目は13問前後の一問一答式。2日目は大問5問程度の記述式となっています。
これはつまり、
- 「算数に関する能力は全方位から見ますよ。」
- 「見落としなく、公正公平にしっかり実力を見ますよ。」
- 「学校と生徒でミスマッチが起きないように、全身全霊で準備しますよ。」
という灘中学校からの愛のある熱いメッセージです。
実際、灘中の入試問題を解いてみると気づきますが、多くの問いでは「計算力(時間と量)」はあまり必要とされません。意外かもしれませんが、時には暗算で済んでしまうレベルです。
裏返すと、
示された問題に対して、
論理構造から正しい着眼点で絞り込みつつ、
いまある条件を最大限活用しつつ、
不要な情報や常識に振り回されず、
選択に疑いを持ちながらも、それを根拠で証明し、
よりシンプルに紐解けないかと思考を深化させていく。
このような思考プロセスを高速(高効率、高集中)で処理する能力を問うことに特化されているということになります。
(※ほんとに驚愕のレベルが求められます。)
この思考プロセスは「クリティカルシンキング(批判的思考)」を指します。
灘中では算数を通じてクリティカルシンキングを問われているのです。
このクリティカルシンキングを問う量と質のレベルが群を抜いて高いのが灘中算数であり、難しいと言われる正体です。
実際に出題される分野は算数ではありますが、「日本の少子高齢化問題を解決せよ!」というような正解のない問題を自分なりに切り崩してすすめていく問題解決力、知恵を問われているのに近いかもしれません。
難しいわけです。
こうなると受験算数テクニックも効かず、過去問の出題分野の傾向や解き方の対策などあまり効果はありません。
平面図形、立体の切断、数論、場合の数、速さ、文章題・・・。どの分野の問題でもクリティカルシンキングはきっちり試されます。
灘中からのメッセージを真正面から受け取り、クリティカルな思考力を向上させることに全集中するのが賢明です。
2.【勉強のポイントを解説】 どのように勉強すれば良いのか?
それではクリティカルシンキングを鍛える勉強方法についてですが、クリティカルシンキングには一種の作法(手順)がありますので、知識、暗記、公式からとにかく離れ、ゼロベースで根拠を紡ぎながら、思考を組み立てていく経験を沢山することです。
そして、その思考を試すには灘中の過去問が一番良い教材となります。
注意したいのは、暗記や知識から(見たことある、解いたことあるなどを含む)正解しても思考力は鍛えられないということです。
どうしても正解を重視してしまうので、頭の中の知識を検索し、数打ちゃ当たる的に闇雲に思考し、たまたまそれが当たって正解ということを繰り返してしまいがちです。
まれに、先取り学習などによる過去の成功パターンから離れられなくて、伸び悩みに苦しんでしまい、抜け出せない受験生もいらっしゃいます。
あくまで、灘中はゼロベースで考えられる能力を問うているということを忘れないようにしたいですね。
話を戻しますが、とにかく大事なのは思考の順序です。
問い(題意)に対して解釈が浅い状態でぱっと飛びつくのではなく、まずは客観的、構造的な把握からスタートし、見落としや思い込みを排除し、根拠のある切り口を探すことです。
もちろん、過去の知識や経験が助けてくれることもあるのですが、あくまで最低限の定理や計算力があれば解き切れる問題になっています。
思考を邪魔するような過剰な知識やテクニックに頼りすぎないように十分注意してください。
思考力は徐々にしか向上しませんが、徐々にでも確実に変化(進化、深化)して行きます。
クリティカルな思考の特徴として、論点と関係のない条件をいかに捨てるかというところにもあります。
沢山の失敗、無駄と思える遠回りな時間こそが、その切り捨てる根拠となるわけなので、全てが必要で貴重な経験なのです。
知識や解説による最短の正解だけではロジカルシンキングは鍛えられても、クリティカルシンキングは鍛えられません。
適切な手順を意識しながら、悩みに、悩みましょう!
3.【実際の学習教材】 クリティカルシンキングを鍛える学習レシピ(過去問を題材に思考力鍛えよう!)
合格者平均の点数が高めだった(比較的易しい) 2018年の算数の1日目の問題を学習レシピ化しました。
この思考手順に従って考えることで、難しいと感じていたものが、案外解き進めることができると思います。
アイデアや知恵は偶然ではなく、必然的に浮かんでくるんだなという経験をしてください。
くれぐれも、正解か不正解かが重要ではなく、思考の訓練であることを忘れずに。
なので、忙しいかもしれませんが、一問一問にたっぷりと考える時間をとってくださいね。
分からない時は、1問に1時間は確保してもらっても良いと思います。やみくもに考えず、思考の手順を意識して。
それでは、自分の思考力の進化を感じながら、楽しんでくださいね!