「全社員最先端IT人材に ヤフー、8000人を再教育」を読んで。
本日の日経新聞一面「全社員最先端IT人材に ヤフー、8000人を再教育」より一部抜粋します。
再教育を通じて人材を付加価値の高い事業へシフトすることは、生産性改善を迫られる多くの日本企業にとっても経営の重要課題だ。
1. アルゴリズム(計算手法)を構築する「データサイエンティスト」
2. アルゴリズムをサービスや社内業務に組み入れる「データアナリスト」
3.「AI」を実務で活用できる人材の3つの業務の役割を設け、役割に見合ったスキル習得を要請
米アルファベット傘下のコンテストプラットフォーム「カグル(Kaggle)」への参加を推奨する。
〜関連の3面記事より〜
【データサイエンティスト】
ビッグデータを分析し、経営や生活に役立つ知見を導き出す専門家。企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中、需要が高まる人材だ。プログラミング言語や統計ソフトを使いこなす能力のほかに、算出した分析結果をアプリやサービスに実装するスキルも求められる。研究段階で素材開発を支援したり、顧客の利用動向からサービスの改善につなげたりする。
さて、この何とも今の時代を象徴するような記事を読み、皆さんは何を感じますか?
「やっぱり早くからプログラミング教育を始めた方が良いかな?」と思われるかもしれませんね。
ちょっと、整理しつつ考えてみましょう。
1.コンピュータの歴史、ビジネス環境の視点から
ビジネスシーンにおけるコンピュータの歴史について見てみると、
- 1960年代〜 独自仕様のオフコン・汎用機の時代
- 1990年代〜 オープン化されたパソコンの時代 (IT革命)
- 2010年代〜 SaaS、クラウドの時代(スマホ時代)
- 2020年代〜 AI、データサイエンスの時代(DX:デジタルトランスフォーメーション)
- Google 1998年設立
- Apple 1976年設立
- Facebook 2004年設立
- Amazon 1994年設立
- Tesla 2003年設立(電気自動車+自動運転)
- SpaceX 2002年設立(航空宇宙、宇宙輸送、宇宙インターネットアクセス)
ざっと、このような流れでコンピューターのハードウェアの革新は続き、生産性(効率)は高まりました。そして、インターネットを活用した新たなサービスが生まれました。インターネット広告や各種サブスクリプションサービスも全盛期と言えます。更に、ブロックチェーン技術を利用した仮想通貨やAIを活用した新サービスや新製品も生まれつつあります。
さて、新聞記事に戻りますが「ヤフー株式会社(日本)」は集めたビッグデータを活かしてどう利益に変えていくかという企業の代表です。
だからこそ「データサイエンティスト」への期待と必要性が高いのです。
データサイエンティストには、機械学習の理論や数学・統計に関する知識、問題を正確に読み取る能力、AI(人工知能)モデルの作成などが求められます。
記事中に出てきた「カグル(Kaggle)」をヒントに、もう少し読み解いていきましょう。
2.Kaggleのグランドマスターに学ぶ
カグル(Kaggle)のグランドマスターは、2021年8月時点で世界に230人ほどしかいないといわれているようです。
参考の記事:ヤングKagglerは、いかにしてグランドマスターになったのか
この記事を読んでみると、
- 登場する二人ともプログラミングに触れたのは大学生になってから。
- 他の参加者のカーネル(プログラムコード)を参照し読解することによって自身の知見を広げていった。
- 普段目にしないデータが提供され、触れられるところが面白かった。
- データに隠された裏のテーマを看破できるかが勝敗を分けることもある。
- 初めて学ぶことばかりでした。
- 仮説を立てて分析手法をいろいろと試し、PDCAサイクルを回していくことがとても刺激的だった。
などと書かれています。(※当初のチームの友人はあまり興味を示さなかったようです。)
つまりは、成果を上げた要因は非認知能力の強さを土台として、データサイエンティストとしての能力を向上させたことのように思えます。
※ただし、彼らが小学生の時点ではプログラミングに触れる機会が今ほど充実していなかったことも事実ですし、プロスポーツ界で散見されるように、一つの領域が成熟していくにつれより幼少期から取り入れて成功しようという勢力が多くなるのも世の常ではあります。(※実際に成果が上がっているかは別問題)
3.結論(子育て、教育の視点から)
「データサイエンティスト」はプログラム言語の知識だけで成立する仕事ではありません。
Python、Ruby、C#、Java、Swift、Go言語など、コンピュータ言語の文法や機能の知識は必要ではあっても十分ではありません。
目的や課題を正しく捉えられないと、良いプログラミングはできません。
仮に小学生(幼少期)にプログラミングを学ぶとしても、より良い感性、好奇心、理解力、論理力、粘り強さ、情報収集力・・・そういったことを同時に刺激し伸ばしてあげることが大切だと私は考えています。
興味があるなら実際にやってみれば良いと思います。
A:カメラという機械が好きだから、写真を撮る人 (機能重視)
B:写真が好きだから、カメラを使う人 (表現重視)
どちらもいます。
A:プログラミングが好きだから、プログラムコードを書く人
B:問題解決が好きだから、アルゴリズムを設計する人
色々なタイプがいます。
入り口、進む道順、目指すゴールは人それぞれです。
プログラミングをやっておくと有利だとか、やっておかないと不利だとか、そういう考えは今は必要ないのかと思うのです。
「興味があるからやってみる。」で良いのだと思います。
自分の命令通りに動いたときは、「おぉ〜!」っと、ちょっと感動します。
それでも、プログラミングの世界は自学自習の独学が基本です。
機械学習など、内容が高度になってくれば最新の情報は英語であることも多いでしょう。数学の理論も必要です。
Kaggleに限らず、GitHubなんかで自分で調べて、真似て、実際に作って、改良して、という過程が楽しめるなら自然とスキルアップして行くことでしょう。
案外難しかったりで、あっという間に嫌いになることもあるでしょう。
それはそれで良い経験だと思います。
せっかく責任の無い子供時代なので、たくさん道草をくって、楽しむことが一番良いと思います。