詰め込まない教育で中学受験は乗り越えられるのか?

 

中学受験について振り返る機会があったのですが、「詰め込まない教育(量に頼らない学習)というのは理想的で良いものなんだけど、実際やるとなると手間暇はかかるし、”あと伸びフェーズ”まで待つのが辛くて、いっそのこと詰め込んでしまいたくなる。」と感じていたことを思い出しました。

ということで、今回はその辺りについて母親視点でコラムを書いてみました。

 

本質的な学び「量よりも質」で最後まで伸びる

団塊ジュニア以降の方々は中学受験といえばハチマキしながら挑んでこられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。その当時の時代背景と今とでは随分違いますが、今も受験となるとそのような熱を感じます。

「早ければ早いほど良い。やればやるほどよい。先にどんどん進めた方がと良い」という昔からある学習方法が現在もまだ主流だなぁ、と感じます。

かくいう私も勉強はやればやるほど良い、と考えていましたので、息子に塾の授業をどんどん入れようとしました。6年生期から本格的に塾に通い出した時点で、スタートがとても遅れていると思っていたからです。

しかし主人は「灘中の対策講座2つはやめさせて」と。現時点でやるべきことは「それ」ではないというのです。たくさん量をこなしても仕方がない。頭になんか入ってないよ、と。今すべきことは入試までに必要なことを段階的に確実に進めるべきだと。そうして灘中対策クラスに入ったのは9月のことでした。(受験の4ヶ月半前)

その間ずっと「量をこなす事が大事ではないか」「対策クラスに行かないと遅れるのではないか」という思いがちらついていましたが、主人は全く別のことを考えていたようです。段階的にどう進めばたどりつくか。現段階はどこで、いつまでに何をクリアすべきか。そして「どんな問題でも対応できる本質的な学び」のサポートしていたようです。

塾では「この時期にこのレベル問題で何点と取る」といった段階的な指標はありましたが、主人が考えていたのは問題正答ではなく、気づく力(感性)、読解力や表現力、ニュートラルな思考力(テクニックに溺れない)、なにより自分ごととして楽しめているか、意欲があるかといったような要素や段階のことのようでした。

「量よりも質」で、周りの子とは比にならないぐらい量は少なかったと思います。それでも最後までグッと伸び切ることができました。もし、最初から「量(詰め込み)」に走っていたら、現在の息子はいなかったと思います。

 

詰め込み学習をするとどうなる?

受験学年の6年生期になると、テキストやテストの問題の質がガラッと様変わりします。

そうなると、これまで通用していた暗記が通用しなくなることが増えます。より思考力(クリティカルシンキング)が求められるのですが、それも量で越えようとすると、子どもにとても負担がかかります。「やってるのに伸びない」ということも。

「たくさんこなし、はやく先に進む」、いわゆる詰め込み教育は、一見学習できているように見えます。そして周りよりもよくできているように思えるかもしれません。が、もしかしたらそれは一時的な期間においてだけかもしれません。

というのも、息子自身が周囲を見てテストでの得点差を感じ、考えることを減らして効率的に暗記して得点に結びつけようとしていたことが何度もありました。復習テストではそれなりに高得点が出るのですが、少し問題をいじられたり、範囲フリーの問題になると途端に解けないという事態に陥っていました。そういう時は、主人が息子の考え方や学習方法をチェックして軌道修正していました。

という経験もあり、安易に暗記に頼る学習方法の危険性を身を持って感じたわけです。最初から上手くいくよりも、転びながら学んでいく経験も必要だったと今では思っています。

学習だけに限りませんが、なんでも一段一段階段を登ることで目標に到達します。しかし、その階段が見えずキャパ以上のことをしたり、一段一段上っているつもりでも一足飛びになっていたりすると、必ずどこかでつまづいてしまいます。下の段でつまづいているのに、上の階段に登らせるようなことをしても登れません。学習でいうと「わかってるつもり」だったり「知識だけや暗記に頼った学習」だったりします。

やり直すにしては「わかってるつもり」ではあるし、戻りたくない気持ちも出てくるでしょう。一番怖いのは一度ついた癖というものはなかなか取れないということです。

ですので、そういった悪い癖が付いてしまう前に、最初からしっかり段階を踏む(転ぶ経験もさせる)という学習プロセスはとても大事なんだと思います。

 

本格的な学習に入る前の学習基盤

同じ授業を受けていても子どもたちの興味度合いが違うのは何故でしょうか。また、「わからない」ことに出会った時、「わからない!」と投げ出してしまう子と「なぜだろう」と自分でわかっていこうとする子の違いは何でしょうか。

それは本格的な学習に向かう前の学習の基盤ができているかどうかの違いにあると思っています。

学習の基盤とは「時間をかけてでも、答えを聞かずに、自分の力で考えて答えを出したいという気持ち(しっかり一段一段登れる力)」です。

その力を幼少期からコツコツつけておけば、入試問題の出題の意図を的確に射抜いて自力で「楽しみながら」紐解いていくことができるので、受験本番での自信や落ち着きにつながるはずです。

また、この能力は受験ばかりでなく、社会に出てからも求められる能力であり、国を挙げて取り組んでいる教育とも同じ流れです。どんな問題が来ても、どんな社会であっても、自分で考え自分で学んでいける能力をゴールデンエイジといわれる小学生時代からきちんと身につけておきたいものです。

 

まとめ

子育てにおいて、ゴールはどこでしょうか。

やはり、”自立する”、”親がいなくても生きていける” ことだと思います。

そのために親はいろんな武器や戦い方を幼少期から子供に授けようとします。その一つが習い事なのかもしれません。

才能豊かに育ってほしいが故にあれもこれもと与え過ぎるご家庭はよく見かけますし、我が家でも最初はたくさんの習い事をしていました。

ここで見落としがちなのですが、先ほどの勉強をすればするほど良いという考え方と似ていますが、たくさんすれするほど本当に良いのか、ということです。

与えられることに慣れた子供は「自分から学ぶこと」はまだ学べていないことが多いものです。

試行錯誤する十分な時間を与えてあげること(待つこと)で、子どもの心と頭を段階的に成熟させてあげましょう。

わからないことを自分で試行錯誤し学んでいける能力、つまり「自ら学び自ら考える」能力があれば、受験だけでなく、将来どんな道でも自分で突き進んでいけるのではないでしょうか。

 

Teku

TekuTeku先生です。

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