問われるのは「問う力」。簡単に納得しないクセ。

以下、本日の日経新聞「経済教室」に掲載されていた記事です。

  • ChatGPTなどの生成AIが発達していった場合に必要とされる人間の能力とは何か。
  • それは「問う力」であり、「簡単に納得しないクセ」も重要。
    柳川範之 東大教授

というものでした。

 

当サイトではリベラルアーツやクリティカルシンキングを切り口として、

  • 「問う力」「疑問を持つ力」の重要性に関して
  • 「問いを立てる能力をどうやって育てるか」に関して

これらは既に詳しく書いておりますので、今回は実際に日々指導を行なっている「現場の先生の感想」を少しだけ書いてみたいと思います。

【解説】スティーブ・ジョブズも重視したリベラルアーツって何だろう?


https://nobiteku.com/liberalarts/

スローラーニングとは


https://nobiteku.com/slow-learning/

 

【感想】指導は簡単でない。習得も簡単ではない。

記事中にもありましたが、

意味のある問いをたてようとすると、ある程度の知見や経験を有していないと、現実にはなかなか難しいからである。何も予備知識なしでは、問いも立てにくい。既存の知識や枠組みを理解しているからこそ、それに裏打ちされた、意味がある問いを立てることができる。また系統立てて問いを深掘りしていくことも、今後は一層重要になってくる。

これは本当にその通りです。

 

のびてく生徒(小学生)の具体例で言うと、

【問い】

野生の動物や昆虫たちは、体温を奪う雨からどのように身を守っているのだろうか?

というような「素朴な疑問」であっても、

 

【知識】

生命と体温の関係。熱の移動や気化熱の原理。

こういった基礎知識が背景にあるからこそ、思いつくこと(問いを立てる)ができるのです。(※最初から難しい社会的な問いを立てる必要はありません。学習基盤づくりとして、まずは素朴なところからで十分だと考えています。)

 

そして、このような「知識」も実際に観察したり触れたりといった経験を通してインプットしないことには問い立てに繋げることはできません。複数の視点から関連づけて、立体的に知識を習得していくように粘り強くサポートし、生きた知識に育てていくことも欠かせません。

もちろん、実際には経験できないことを調べることもありますが、その際には頭の中でいかにリアルに想像・再現できるかといった能力(感性や映像化)が重要になってきます。また、この感性を磨くには「自分の想像力を使って推測・類推する丁寧(スロー)な学習」が必要なのですが、ここに「先生」として難しく感じる部分があります。

と言うのも、ひと昔前と違って現代では、Webサイト、図鑑、専門書籍、DVD、TV、解説動画サイト、クイズ番組…etc、便利で親切なものが豊富に揃っています。それぞれのコンテンツも満足度を高めるため、「素朴な疑問、発展的な疑問、トリビア的なうんちく」にまで先回りして解説してくれてありますので、悩みや失敗や挫折の中から「そもそも…」と想像力を発揮する機会が少なくなります。

  • 「知識」は一種のゴールです。
  • 「問いを立てる力」はゴールまでの道筋を立てる力です。

先にゴールである知識が入ってしまうと、わざわざプロセスである問いを立てることはしないでしょう…。こうして、「分かったつもり」が出来上がってしまいます。

 

【指導】でも、それが当たり前。

さて、沢山の正しい知識を知っていたとき、褒められることはあっても、そこを突っ込まれる経験ってあるでしょうか?(※信頼関係ができるまでは、いきなり突っ込むことはありませんのでご安心ください。)

子どもたちの反応を見ていても「ちょっと驚いているな。ちょっと困っているな。」と感じます。が、段々と先生からの「ツッコミ」の意図や意味がわかってくると、アドバイスとして受け入れてくれ、思考を楽しんでくれるようになって行きますね。こうして成長軌道にのってくれると、学習における理解と定着は加速して行きます。(※当然ながら、それなりに時間はかかります。)

 

このようなことを指導の目標としていますが、一人ひとりが何に好奇心をもったり、どこに広がったり、どんな突拍子もないことを言ってくるのかも分かりません。頭や心の中がどんな状態であるのかも人それぞれです。

ですので、可能な限りの想定と最大限の準備をして、集中力と感度をMaxの状態にして毎回レッスンに臨むようにしています。(※決まった講義や演習をするだけだと凄く楽なのですが…。)そこまで準備しても全くの空振りに終わることもしばしばありますので、正直、かなり大変です…(^-^;

が、子どもたちの可能性は無限大です!それだけやり甲斐も感じています!

 

 

ちょっとまとまらない内容になってしまいましたが、以上、「現場の先生」の感想でした。

Nobi

NobiNob先生iです。

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