親の焦りから『もう、こんな問題も解けないでどうするのよ〜(怒)』とついつい怒ってしまった経験はありませんか?
そんな時は怒ることを我慢するのではなく、その怒りのエレルギーを「怒らないで済む状況づくり」に向ければ良いんです。
「それができれるなら苦労しないわ!」という声が聞こえてきそうですが、それが案外できるのです。
そんなことについて書いてみたいと思います。
①欲を排除して現実を整理する
怒りと焦りの正体(前提の整理)
そもそも、人は理想と現実とのギャップに対して怒りを感じ、解決策が思いつかないことに対して焦りを感じるものです。
つまり、怒りと焦りの正体は「手軽に早くギャップを埋めてしまいたい。不安から解放されたい。」という一種の「欲」なわけです。
今回における理想とは志望校の偏差値や問題レベルであり、現実とはお子さんのテストの点数のことですね。
理想は変える必要はありませんし、変えることもできません。
一方、現実はいくらでも改善できる余地(可能性)があるのです。
どうやっても変えることのできない「過去(点数)」に対してエネルギーを使うのではなく、未来の可能性に対してエネルギーを使いましょう。
ここまでが前提の整理です。
現実の把握分析に全力集中する
さて、ここからは合理的に考えてみましょう。続けます。
仮に「怒る」という行為が改善(点数アップ)につながるのであれば怒るべきなのですが、普段から既に頑張っている子供たちに効果があるとは思えません。
シビアにいえば、怒っている暇なんてなくて、親に取っても子にとっても非常にもったいない時間なのです。
真の目的が親の不安の解消ではなく合格なのであれば、一旦現実だけを深くみることに全エネルギーを集中してみましょう。
ここでオススメの「自問自答のキャッチフレーズ」を紹介します。
キャッチフレーズ:「ところで、我が子は何でこの問題を間違うのだろうか?」
です。
「ところで」 ⇒ この言葉には頭をぱっと切り替える効果があります。
「何でこの問題を間違うのだろうか?」 ⇒ この言葉には背景(原因)に視点(思考、分析)を向ける効果があります。
やってみると分かると思いますが、自分に問いかけることで主観を排除し客観的になることができ、自然と欲は排除されていきます。
だまされたと思ってぜひ一度やってみてください。本当に怒りの感情が湧き上がってきませんよ。
【企業コンサルタントNobiの余談】
大人の社会でも理不尽な扱いや要求をされる場面あると思いますが、そんな時も「ところで、この人は何でこんなことを言うのだろうか?」と考えることで、相手のこじれた真意が見えてきます。
「あ〜なるほど。自分の立場を守りたいんだな。(保身)」
「あ〜なるほど。実は自分に自信がないんだな。(味方になって欲しい)」
「あ〜なるほど。断られると代替案がなくてまずい状況なんだな。(焦り)」
これが見えてくれば、こちらから代替案を出し、Win-Winの関係に持ち込むことも可能です。無駄なストレスから解放されるコツですね。
真の目的を追求する姿勢こそアンガーマネジメントです。
②効果のある受験コーチングの方法
続いて、具体的なコーチングについて書いていきます。
子供も正解しようしたのに間違っているわけですから、親から「正解しなさい!」と怒られても「そんなの分かってるよ!」となってしまうわけです。
もしくは、その問題の解き方を説明(ティーチング)されても、それは後付けであって、「それが思いつくなら苦労しないよ。」と口には出さずとも心では思っていることでしょう。
受験期に子供の心がどんどん閉じて、無口になってしまう原因はここにあります。(※親子ゲンカになる場合、お子さんが荒れる場合も同じことです。)
そしてこのやりとりの一番の問題は子供自身が『限界という目に見えない壁を作ってしまう。』ところにあります。
いま必要なことは
「あなたの能力だとこのレベルの問題は十分に解けるよ。単に○○についての理解だけが欠けているから不正解になっているだけだよ。その部分について特化して勉強してみよう!」
という天井(可能性)を上げてやるコーチングです。
気合いや理想論ではなく、本人が「そうか、なるほど、やれそうだな。」と思えるもの具体的な道筋でなくてはいけません。
注意したいのは「○○について」という部分の意味が、「平面図形」とか「規則性」など単元のことを指すのではないということです。「語彙力」とか「物語文」のような大きなくくりでの分類でもありません。なぜその類の問題が苦手なのか?というもっと具体的な原因を指すものです。ここを掘り下げて分析せずに、不正解だった単元の問題を多量にこなしても効果は期待できないでしょう。(※今現在のレベルのAI診断、模試のアドバイスだと単元単位のアドバイスになっているのことが多く注意が必要ですね。)
③受験コーチングの肝:ボトルネックを把握する
では、コーチングの肝になる具体的な道筋を示す方法について説明していきます。
こういった詰まっている「○○の部分」を「ボトルネック」と呼びます。
イメージしてもらい易くするため、ボトルネックがどんなものなのか、先に具体例を示しておきましょう。
具体例(科目共通)
【クリティカルシンキング系のボトルネック例】
- 見たことがない問題形式だと感じた時点で思考停止してしまっている。(暗記に頼りすぎ。)
- 似たような問題だと感じた時点で、決めつけてしまっている。(思い込み過ぎ。)
- 情報や条件が多くなると、整理ができずオーバーフローして思考停止している。(メンタル負け)
- 情報や条件が少ないと、難しい問題に違いないと先入観でハードルを上げてしまっている。(メンタル負け)
- 論理的な裏受けを取らずに、こうに違いないとすすめてしまっている。(思考力不足)
これらはほんの一例で、他にも沢山あります。
【ロジカルシンキング系のボトルネック例(科目別)】
算数:分数の約分、ふたつのものを比較する際に揃える行為、立体を平面化する作業が正確でなかったり、光が直進するという性質を見落としていたり。
国語:漢字も持つ意味に関心がなく文字と概念の関係が育っていない。人間の感情は言葉以外にも表れることを感じたことがない。人に分かり易く説明するには文章の順番が大切だという書き手の経験に乏しい。時代の背景に興味がない。など。
理科:反応するものが無くなると反応は止まるという基本原理を見逃している。生物の機能は合理的にできていると感心していない。自然現象もつじつまが合うことを感じていない。など。
社会:人が集まると組織になり制度が必要となる。競争原理。得意を生かす。地球規模で気候や特徴がある。世界各国の発展の時期、スピードに違いがある。宗教とは何なのか。環境問題と利権。など、社会構造や経済に関する興味が薄い。
こんな感じの基本的な原理や視点が不足したまま、問題を解くことばかりに集中し過ぎていたりもします。
字が汚くて0と6を読み違っていたり、聞かれていないことを解答していたり、そういった初歩的なものも案外多かったりもします。
いかがですか?何か思い当たる節はありますか?
正解不正解の結果に一喜一憂するのではなく、その原因について考えてみましょう。
ボトルネックに注目すべき理由
高速道路の料金所やスーパーのレジのようなもので、他にいくら余裕があっても、最終的なパフォーマンスは一番能力の低い部分(ボトルネック)によって決定されるのです。
今、このボトルネックが何かを探り当てて、そこをピンポイントでまず一つ解消していくことが大切です。「まず一つ」がポイントです。一気にレベルアップはできません。コツコツ広げていくのがベストなのです。
実力以上の難問ばかりに着手するとボトルネックが複数同時に存在することになってしまい「やれそうだ。」という実感を持つことができず限界を感じさせてしまいます。急がば回れでコツコツこそが一番の近道です。
一つ解消されると当然、次のボトルネックが出てきますので、またそれを解消する(広げる)。これをコツコツ繰り返して成長して行くわけです。
【企業コンサルタントNobiの余談】
論理的な視点から言えば他を広げる意味は全くありません。ボトルネックに全集中すべきです。企業コンサルティング(製造業の生産管理や品質改善、マネージャー育成など)の現場でもこのボトルネックへのアプローチは利益率向上など絶大なる効果を発揮しています。
④親も問題を解くとよい。すごく良い。
さて、もしかすると我が子のボトルネックを把握するのが難しく感じたかもしれませんが、最も確実で、最も良い方法は親も問題を解いてみることです。
- 知識が足りなくて詰まっているのか?
- ロジカルシンキング(論理的思考)が足りなくて詰まっているのか?
- クリティカルシンキング(批判的思考)が足りなくて詰まっているのか?
正解する必要はありません。しっかり悩んで、考えてみて、その問いに正解するには1〜3のどのスキルが必要なのかを分類するだけで十分です。
そして、子供達はしっかり勉強しているので「ここの部分、難しいよね〜。どうな風に考えたら良いのかな?」とお子さんに教わるように投げかけてあげると、子供自ら説明しだし、自ら「あ、分かったかも!?」と解き始めることでしょう。
塾では解説中心の授業となるので知識や論理の蓄積が中心となってきます。(※クリティカルシンキングの鍛錬までは手が回りません。)
仮にクリティカルシンキングがボトルネックになっている場合は、思考を客観的に戻してあげる上記のようなコーチングが非常に有効なので、ぜひ親御さんがでやってあげて欲しいポイントです。
それこそが受験期の中盤から終盤に伸び続ける秘訣だと思います。
さて、いかがでしたか? これが受験コーチングの秘訣です。
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