志望校の赤本分析(過去問)していますか?

①私立学校の建学の精神

突然ですが、志望校の赤本(過去問)分析はしていますか?

赤本自体にも「傾向と対策」という項目に各科目の主題傾向が分野別にまとめられています。

また、塾にも十分なノウハウがを基にした志望校対策講座のようなものが充実しているので、わざわざ自分で赤本分析をする必要性を感じないかもしれませんね。

しかし、

  1. なぜそのような問題が多く出題されるのか?
  2. なぜそのような出題形式なのか?
  3. 科目単体ではなく、総合的に何を試されているのか?

こういったことを深く考えたことはあるでしょうか?

入試説明会(や入学後の保護者説明会)に参加すると強烈に感じることですが、それぞれが建学の精神を持つ私立学校は国公立学校にはできない独自の教育を目指しています。

そして、その建学の精神は学校ごとに特色があり、それぞれ違っている訳です。

アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)として、Webサイトなどで明文化されている学校も増えています。

つまり、

  • どんな生徒を育てようとしているのか。
  • どんな教育方法をとっているのか。
  • どんな生徒が相性が良いのか。

こういったことを教育者として考えに考え抜いた結果が「入試問題」として表現されているわけです。

単に知識だけを問う入試ではなくなっていることは周知の事実ですが、「問い」には学校の教育哲学や熱きメッセージが存分に込められているのです。

②赤本分析のやり方

赤本分析の概要

さて、学校視点でみると入試の目的は学校と相性の良い生徒を選び出すことにあります。

学校側は入試時点で子供達に全ての能力を高いレベルで求めることはしません。あくまで入学後に育てていく前提で、お互いの方向性にズレがないように配分を考えているのです。

  1. 求められる能力を具体的にレベル分けし、どの程度まで求められるのかの視点で過去問を見る。
  2. 生徒の性格や行動特性をタイプ分けし、どういうタイプの子供達に入学してきて欲しいのかを過去問から感じ取る。

非常にシンプルですが、これが分析の基本的な流れです。

【補足】
声の教育社 、東京学参、英俊社などから赤本(過去問)が出版されていますが、どれを選択して頂いても良いと思います。赤本分析のポイントは「問題自体の考察」にあるのであって、出版社の解説やコメントにあるわけではありません。

 

生徒の能力と特徴を見える化する

まずはインプット能力のレベル分けについて。

【A:インプット能力】

  1. 事実の読み取り(整理)
    書かれてある文字、文章、図形、グラフなどを過不足なく、正しく読み取る能力。
  2. 行間の読み取り(意図)
    文章の字面ではなく、隠された意図までを理解する能力。
  3. 関係性の読み取り(背景、論理の構築)
    読み取った情報の関係性や因果関係を正しく把握、論理的構造的に情報を整理する能力。

 

次に思考力について。

【B:思考力】

  1. 知識
  2. ロジカルシンキング
    目的に合わせて、物事を要素に分類し、矛盾が起こらないように筋道を立てながら整理、理解していく思考法のことです。情報をモレなく、ダブりなく分類整理し、「なぜ?」と問いかけ原因を探り、「つまり?」と問いかけ結論を探っていきます。
  3. クリティカルシンキング
    主観・思い込み・偏りを排除し、「本当にこの前提は正しいのか?」「そもそも考えるべきことは何か?」「どんな項目について考えれば答えが出そうか?」という視点を持ち続け、自ら考える枠組みと方針を設定し、複数の可能性の中から最適な解決方法を導き出していく思考法のことです。

 

次にアウトプット能力のタイプについて。

【C:アウトプット能力】

  1. スピード
  2. 正確性
  3. 表現力

 

そして、最後の性格や行動特性のタイプについて。

【D:性格タイプ】

  1. 真面目さ、粘り強さ
  2. 感性、感受性
  3. 好奇心、探究心
  4. 発想力、創造力
  5. 社会性、倫理観

 

各科目でどこをみているのか

これらA、B、C、Dを各科目の問い(問題)で分担して、なるべく偏りなく子供達を深く見ていくわけです。

【算数】B思考タイプ、Cアウトプット能力を中心にみられている。
【国語】Aインプット能力、Cアウトプット能力を中心にみられている。
【理科】Aインプット能力、D性格タイプを中心にみられている。
【社会】Aインプット能力、B思考タイプを中心にみられている。

 

実際はこんなにきれいに分類される訳ではありませんが、各問題におけるテーマ、条件の与え方、問われる内容、答え方などに必ず各校のメッセージ(哲学)が滲み出ているはずです。

③志望校判定模試(オープン模試)の合否判定は当たるのか?

大手塾の志望校判定模試の合否判定を一番重要視していることかと思います。

確かに「過去どれ位の順位の生徒が合格した。」という統計的な視点からある程度の信頼度(判定精度)はあると思います。

しかし、模試の問題自体は過去の出題傾向と難易度から類似問題を列挙して作成されていますので、そこには学校の精神、思想、想い、哲学は存在していません。

「似て非なるもの」なのです。

唯一、過去問(赤本)だけが「本物」な訳です。

この問題で合格点に達することができれば、十分に相性と実力があると思って良いのではないでしょうか。

あとは、本番の緊張感などを想定し、普段通りの実力が発揮できるように備えましょう。

④さいごに

学校ごとにすごく色が出ていて面白いので、ぜひ過去問を実際に解いてみて、ちょっとした条件の設定など、そこに込められたメッセージを紐解いてみてください。

これが志望校合格への道しるべとなることでしょう!

Nobi

NobiNob先生iです。

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