スローラーニングとは

1.スローラーニングとは(どのように学ぶのか?)

もっと深く、もっと広く、もっと先へ!

スローラーニングでは、リベラルアーツ(自然科学、社会科学、人文科学)を通して、子どもたちの「知りたい!やりたい!わかりたい!」の気持ちを加速させていきます。そして、明確な答えがない問題や課題を解決していくために必要となる「知識、思考力、判断力、決断力、表現力、そして自立心」など、『生きる力』を習得していきます。

「学ぶ」を楽しむスローラーニング:丁寧に本質まで深く掘り下げる学習

 

どんな学び方をするの?

教育先進国の北欧フィンランドなどで行われている教育法と同じく、お子様自身が興味のあるテーマについて「なぜ?」「どうして?」と自分の頭で『じっくり(スロー)』考えることを中心とした能動的学習方法です。教室に座って先生の授業(説明)を聞き、解き方や知識を暗記していく従来の受動的な学習とは対極にある新しい学び方です。

この学び方の何が良いの?

子どもたちの好奇心を起点として「細部まで」じっくり考えることで、今まで気にならなかったことが気になり始め、気づかなかったことに気づくようになり、そして色々と知りたくなってしまいます。そうすることで、やらされの勉強ではなく、「知りたいから勉強する」「遊ぶように学ぶ」という最高の状態をつくっていくことができます。

続けるとどうなるの?

この「学習に前向きな状態」をベースに、なるべく「身近な実体験」を交えつつ、「原理原則(メカニズム)」を意識して考えていくように先生が導きます。そうすると、子どもたち自身で「わかった!」にたどり着くことができるようになって行きます。また、学習範囲や難易度に制限制約は設けず、お子様の「もっと知りたい!もっと分かりたい!」の気持ちを優先させます。このようにして、楽しみながらどんどん深く、もっと先へと学びを発展させていきます。「知りたい、やりたい、わかりたい」を加速させる、それが『スローラーニング』です。(※知的好奇心が旺盛なギフテッドにも最適な理由です。)

スローに学ぶのに進度は早いの?

ある事柄に対して複数の視点でじっくり思考することで、「点」と「点」を推測・検証の力で「線」としてつなげていく「応用力」が身についていきます。その結果、先に進むほど多量の「点」を正確に暗記しなくてはいけない従来型の学習に比べ、学習の進度は早くなり、深度は深まり、範囲は広がっていきます。

この学びは将来役立つの?

新型コロナの前後で世の中のあらゆるものが大きく変わったように、時代変化の質は大きく、スピードも非常に速くなっています。このような先の読めない時代においては「問題を発見する力」や「明確な答えがない課題を解決する力」は非常に役立ちます。そして何より、スローラーニングで身につけた、未知なるものに対して「知りたい、やりたい、わかりたい」という気持ちを持てること、これこそが変化を楽しむ原動力になってくれることだと思います。好きなものに出会い、好きな道で生きていく、を実現させるための学びです。

2.リベラルアーツとは(何を学ぶのか?)

リベラルアーツは「問う力」を鍛える学問


リベラルアーツでは『未知なるものを自力で理解していく術』を学びます。その中核となるのが「クリティカル・シンキング」と「アナロジカル・シンキング」という思考法です。これらを身につけることで、不確実な時代に生きる子どもたちが、自分自身の可能性を広げ自由に生きていくこと、に繋がっていきます。

【クリティカル・シンキング(批判的思考)】

『正解のない問題を解決することに役立ちます。』

クリティカルシンキングとは、主観・思い込み・偏りを排除し、深く多角的な視点をもつ俯瞰的な思考法のことです。「本当にこの前提は正しいのか?」「そもそも考えるべきことは何か?」「どんな項目について考えれば答えが出そうか?」という視点を持ち続け、自ら考える枠組みと方針を設定し、複数の可能性の中から最適な解決方法を導き出していきます。

【アナロジカル・シンキング(類推思考)】

『発想力・着想力・創造力などに役立ちます。』

アナロジー思考とは、一見異なるように見える物事の間にある共通点を見出し、課題に応用する思考法のことです。物事を要素に分解し、影響度や関係性を見極めていきます。このように具体化と抽象化を繰り返し、断片的なままでは役に立たない知識を互いに関連づけ、統合し、構造的に理解していきます。

 

どちらの思考法も一朝一夕に身に付くものではありませんので、先生の助言を得ながらも、疑問を持つ、自ら調べる、自ら考える、自ら検証する、まとめて発表する、議論する…etc、このような探究的な学習経験を沢山積み重ねていくことで、徐々に「未知なるものを自力で乗り越える力」を習得していきます。

「知らない…、やったことない…、わからない…」と恐れるのではなく、「こうやって調べてみよう!あのやり方でやってみよう!この手順で進めてみよう!」というように思考して、その先に希望(解決)があるスタート地点であると捉えるのがベラルアーツの考え方です。

 

リベラルアーツの学習科目


例えば、「どうして環境破壊が起こってしまうのだろう?」という課題について考えた時には、「人口、経済、食料、農業、IT、戦争、宗教…etc」、色々な視点から整理する必要があります。リベラルアーツでは、ものごとを「自然科学」「社会科学」「人文科学」の3つの視点に分け、つながりを網羅的に学びます。(※個別に独立分断させないことが大切です。)「つながりのある生きた知識」がベースにあるからこそ、深い問いを立てる思考力、解決への創造力が湧き出てくるのです。

 

自然科学

  1. 「何をする?」
    生き物や植物などの生命、月や雷などの自然現象の観察など、実際に見る、感じる、確かめるということを大切にします。
  2. 「何を学ぶ?」
    地球の仕組み、宇宙の物理法則、自然現象や生命の神秘についての理解を深めます。
  3. 「何に役立つ?」
    科学技術が社会のどこで使われているのかが具体的にイメージできるようになり、将来自分がやりたいことが見えてくる。
  4. 「将来どこにつながる?」
    生物学、地学、天文学、物理学、化学、数学、農学、医学、情報学など。

社会科学

  1. 「何をする?」
    消費税から国の統治の仕組み、ドル高円安から貨幣経済の仕組み、EVと環境保全の関係など、身近なニュースから社会制度に対する興味を引き出します。
  2. 「何を学ぶ?」
    政治と経済、経営と産業、国力と人口など、社会の仕組みについての理解を深めます。
  3. 「何に役立つ?」
    社会問題の本質が見えるようになり、人々が平和に幸せに生きるために必要なことが見えてくる。
  4. 「将来どこにつながる?」
    経済学、経営学、法学、教育学、政治学、社会学、金融学など。

人文科学

  1. 「何をする?」
    物語の世界観を感じたり、自分でお話をつくってみたり、好きなものについて語り合ったり。「ことば」の理解を磨いていきます。
  2. 「何を学ぶ?」
    歴史や文化から人間の思考と行動、そして価値観といった人間の本質についての理解を深めます。
  3. 「何に役立つ?」
    異なるものを認め、受け入れることの必要性を理解し、人々が平和に幸せに生きるために必要なことが見えてくる。
  4. 「将来どこにつながる?」
    哲学、宗教、文学、歴史学、社会学、心理学、コミュニケーション言語など。

 

各科目の内容はリベラルアーツ科目のページをご覧ください。なお、掲載されているのは一部の汎用カリキュラムです。お子様と一緒になり個別に探究課題を新設していきます。※新設の探究課題はサイト上に掲載しておりませんがご了承くださいませ。

3.スローラーニング × リベラルアーツ

化学反応を促進する

「能動的に学ぶ姿勢を身につけるスローラーニング」と「生きた知識と思考力を身につけるリベラルアーツ」をうまく化学反応させるためのポイントについてお話します。

キーワードは子どもたちの「内面」です。

 

ポイント1:内面の感性から育む

感性とは
小さな差異に気づくなど、物事を心に深く繊細に感じ取る働き。見たり聞いたりしたことから想像力を膨らませること。

 

「生きる力」は「感性」の上にある

「明確な答えのない問題を解決する力」を身につけるためには、まず「隠れている問題を発見する感性」が必要であることを見落としてはいけません。つまり、『生きる力』は『豊かな感性』の上に成り立っているのです。幼少期には、まず好奇心・感性といった内面の部分を十分に育んであげることで、将来優れた力が身についていくわけです。

豊かな経験から学ぶ

また、好奇心・感性の豊かさとは「ものごとを多方向から見る力」「小さな差異に気づく力」と言い換えることができます。何事も経験しないことには学べませんので、物事を実際に色々な方向から見て・感じて・考えるといった豊かな経験をするには、それ相応の時間がたっぷりと必要になってきます。

急がば回れ

じっくりと細部まで感じていくと、不思議なことや面白いことが沢山でてきますので、話は広がり、時には脱線していきます。この寄り道、回り道といった道草の時間と経験が、好奇心・感性の豊かさの支えとなっていきます。豊かな好奇心・感性を育むにはスロー(じっくり)であることが理にかなって自然なことなのです。時短や効率のため、知識や正解を先回りして教えてしまうと、好奇心や感性が育たず、優れた知性が手に入らず、本末転倒になってしまいますので注意が必要です。

 

ポイント2:内面から楽しむ

「楽しい」と「楽しむ」は違うもの。
「楽しい」は外から来る、「楽しむ」は内から生まれる!

 

外から来る「楽しい」は続かない

どんな分野であっても、先生やコーチの言う通りにやっていると、最初は結果が出て「楽しい」と感じるはずです。特に、同年代よりも早期にとりかかっていると、それがアドバンテージとなり、良い結果が出易く「楽しい」ことだと思います。ところがです。やはり、ある程度のところまで行くと壁が立ちはだかり、成長が停滞する時期が必ず訪れます。年々競争相手も増え、だんだんと早期着手のアドバンテージも無くなり、横一線。こうなると、「楽しい」気持ちは何処かへ行き、「焦り」ばかりが生まれてきてしまいます。追い抜かれてしまうようなことにでもなれば、バーンアウト(燃え尽き症候分)し、無気力、挑戦が怖い…という状況になってしまうかもしれません。

内から生まれる「楽しむ」は加速する

自分自身で「どうすれば成果につながるだろう?」という問いをたてることからスタートした場合、結果だけに左右されることなく「感じ、考え、試す」というプロセス全体が「楽しい」と感じられるはずです。これが「楽しむ」は内から生まれるということ。幼少期より「プロセス」にじっくりと(スローに)エネルギーを費やすことで、必然的に必要な能力を身につけ、自分でやり抜いていく楽しさ(楽しむ力)を習得することができます。このように自力で分かっていく「楽しむ力」を習得するには、失敗を含めた沢山の経験が必要であり、それにはスローであることが必要なのです。

4.「ファスト」から「スロー」へ

「既に答えがある問題」はAIで対処できる時代になり、知識の暗記と再生のうまさを評価する教育は意味をなさなくなり、いよいよ日本でも知識暗記型教育(テスト中心偏差値教育)が終幕をむかえつつあります。

一方、疑問を持つことは人間にしかできません。今こそ、課題を見つけて問いを立て、定まった正解がない中で最適解を模索する探究型のスローラーニングへ転換が必要になっています。

それでは「スローラーニング(自発的に楽しんで学ぶ)」と「リベラルアーツ(つながりのある知識と思考力)」に関するご説明が終わりましたので、次頁では具体的な指導方法や学習の進め方などににご説明していきます。

 

→指導の特長や学習の進め方

 

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